世渡りと生きがい  -11
 


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********** 世渡りと生きがい〔素読の行)VOL-11 ***
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VOL-1よりVOL-4までの漢文をまとめてみました。漢文を先に掲載し、その
 後に読み下し文を記しました。漢文だけで読み下し文が口から出るように
 なっているかを確認、復習してみてください。


  大学

 大學之道、在明明徳、在親民、在止於至善  

 知止而后有定、定而后能静、静而后能安、  
 
 安而后能慮、慮而后能得、

 物有本末、事有終始、知所先後、則近道矣.

 古之欲明明徳於天下者、先治其國.

 欲治其國者、先齊其家、欲齊其家者、

 先脩其身、欲脩其身者、 正其心者、

欲正其心者、

先誠其意、欲誠其意者

  先致其知、 致知在格物

  物格而后知至、知至而后意誠、

  意誠而后心正、心正而后身脩。

  身脩而后家齊、 家齊而后國治、

  國治而后天下平

   自天子以至於庶人、壱是皆以脩身爲本、

  其本亂而末治者否矣、
 
  其所厚者薄而其所薄者厚、末之有也

  此謂知本、此謂知之至也 。


 
 大学 の道は 明徳を 明らかにするに在り。    


 民に親しむに在り。
 
 
 至善に止まるに在り。


 止まるを知りて而る 后に 定まるあり


 定まりて而る后に能く 静かなり。

  
 静かにして而る后に能く安し。


 安くして而る后に 能く 慮る。

 
 慮りて 而る 后に 能く 得。

 
 物に本末あり。事に 終始あり。            


   
 先後する所を知れば則ち道に近し。

  
 古の明徳を天下に 明らかにせんと欲する者は先づ其の国を治む。
 

 
 其の国を治めんと欲する者は先づ其の家を齊ふ。

 
 其の家を 齊へんと 欲する者は、先づ其の身を脩む。
    

 其の身を脩めんと欲する者は、先づ其の心を正しうす。           


 其の 心を正しうせんと欲する者は、


 先づ其の意を誠にす。其の意を誠にせん


 と欲する者は、先ず其の知を致す。


 知を致すは物に格るに在り。


 物格りて而る后に知至る知至りて而る后に意誠なり。


 意誠にして而る后に心正し、心正しうし て


 而る后に身脩まる。

 身脩まりて而る后に家齊ふ。


 家齊ひて 而る 后に国治まる。


 国治りて 而る 后に 天下平らかなり。


 天子より以て庶人に至るまで、壱是に皆身を脩むるを以て本と爲す。


 其の本 乱れて 末治まる 者は 否らず。


 其の厚くする所の者 薄くして、

 其の簿くする所の者 厚きは未だこれ有らざるなり。
           
 此れを本を知ると謂ふ。                 


 此れを知の至りと謂ふなり。



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1)  敬則心精明             (言志四録)

2) 敬能截断妄念。昔人云。 敬勝百邪百邪之来。
     

     必有妄念。 爲之先導。。〔言志四録)
     

3)   脩己以敬。以安人。以安百姓。壹是天心流注〔言志四録)


 4) 荀子曰、人有三不祥、幼而不肯事長、 賎而不肯事貴.

不肖而不肯事賢、 是人之三不祥也  〔古典小学)


5) 伊川先生言、人有三不幸。 少年登高科、一不幸。
  
席父兄之勢、為美官、 二不幸。
  
有高才能文章、三不幸也。     〔古典小学)

  けい・すなわち・こころせいめい・
1)  敬なれば 則 ち 心精明なり


けいよ・もうねん・せつだん・せきじん・い・けい・ひゃくじゃ・か 
2) 敬能く妄念を 截断す。 昔人云う 。    敬は百邪に勝つ
 

  ひゃくじゃ・く・かなら・もうねん・あ・これ・せんどう・な
  と百邪の来るに、必ず 妄念有りて、 之が 先導を 爲す。




おのれ・おさ・けい・もっ・ひと・やす・もっ・ひゃくせい・やす・

3)己を修むるに敬を以てして、人を 安んじ、以て 百姓を 安んずるは

  

  いち・・これ・てんしん・りゅうちゅう
   一 に 是 天心の 流注なり

  百姓(ひゃくせい)ー多くの人々    天心―神の心




 じゅんし・いわ・ ひと・さんふしょう・よう・あえ・ちょう・つか

4) 荀子曰く、 人は 三不祥あり、 幼にして肯て 長に 事へず、 

せん・ ・き・・つか・
賎にして 貴に事へず、 


 ふしょう・・あえて・けん・つか・これひと・さんふしょう

 不肖にして  肯て 賢に 事へず、是人の三不祥なり。
  
いせんせんせい・い・ひと・みっ・ふこう・しょうねん・こうか・のぼ
5) 伊川先生言う、人三つの不幸あり、 少年にして 高科 に登るは

いち・ふこう・・ふけい・いきお・よ・・びかん・な・・ふた・ふこう
一の不幸なり、 父兄の 勢いに席りて 美官と為るは、二つの不幸なり

こうさい・・ぶんしょう・・よく・・・・さんのふこう・・・・
高才ありて 文章を 能くするは、 三の不幸なり。


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1.人各有所長。用人宣取長舎短。自処 則當忘長以勉短。
                 〔言志四録)

2.以 春風 接人。以 秋霜自粛 〔言志四録)
  
3.自責厳者。責人亦厳。恕人寛者。自恕亦寛。皆不免於一偏。
    
    君子則躬自厚而薄責於人  〔言志四録)
  
4.愛親者不敢惡於人、敬親者不敢慢於人。

   
   愛敬盡於事親、而徳教加於百姓、

    
   刑於四海。此天子之孝也。在上不驕、

     
   高而不危。制節謹度、満而不溢。

     
   然後能保其社稷、而和其民人。

     
   此諸侯之孝也。〔古典小学)

ひと・おのおの・ちょう・ところあ・ひと・もち・よろ・ちょう・と
 1.人 各々長ずる所有り。   人を用うるには、宜しく長を取りて

    たん・す・・みずか・しょ・ちょう・わす・たん・つと・・
    短を舎つべく、自ら処するには、長を忘れて短を勉むべし

  しゅんふう・もっ・ひと・せっ・しゅうそう・もっ・おのれ・しゅく・
 2. 春風を 以って 人に接し、  秋霜を 以って 己を 粛す。

   みずか・せ・・げん・・・・・ひと・せ・・・・またげん・
 3. 自ら責むること厳なるものは、人を責むることも亦厳なり。
     

    ひと・じょ・・かん・もの・みずか・じょ・・またかん・・
    人を 恕すること寛なる者は、自ら 恕することも亦寛なり、


  みな・いっぺん・まぬが・くんし・すなわち・み・みずから・あつ 
    皆一偏たるを免れず。  君子は則ち躬自ら厚うして、
    

   うす・ひと・せ・
    薄く人を責む。    
   
簡約ー 恕(じょ):他人を思いやる

4. おや・あい・・・あ・ひと・にく・・
   親を愛するものは敢えて人を悪まず、
 
   おや・けい・・・・あ・ひと・あなど・・
    親を敬するものは敢えて人を慢らず。
 
  あいけい・おや・つか・つく・とくきょう・ひゃくせい・くわ
   愛敬 親に 事ふるに盡して、徳教 百姓に加はり、
 
   しかい・のっと・こ・てんし・こう・かみ・・
   四海に刑る。 此れ天子の孝なり。 上にありて
 
    おご・・・ たか・・あやう・・・
    奢らざれば、高くして危からず。
 

    せつ・せい・ど・つつし・み・・あふ・・ 
     節を制し 度を謹めば 満つれども溢れず。
 

   しか・のち・よ・そ・しゃしょく・たも・・
    然して後に能く其の社稷を保ちて、
 

    ・みんじん・わ・・こ・しょこう・こう・・
   その民人を和す。此れ諸侯の孝なり。

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VOL-5より VOL-10までの漢文をまとめました。復習、確認ください。

1.聖人之道、去智与巧。智巧不去、難以為常。民人用之、其身多殃 。 

   主上用之、其国危亡    〔韓非子)

2.不賢而為賢者師、不智而為智者正。臣有其労、君有其成功,

此之謂賢主之経。     〔韓非子)


3.君無見其所欲、君見其所欲、臣将自雕琢。君無見其意。

   君見其意、臣将自表異。   〔韓非子)

4.至言忤於耳而倒於心。非賢聖漠良聴。

                 (韓非子)   
  
5.覚人之詐。不形於言。受人之侮。不動於色。此中有無窮意味。

亦有無窮受用。       〔采根譚)
   
6.害人之心不可有。防人之心不可無。此戒疎於慮也。寧受人之欺

     毋 逆人之詐。此警傷於察也。二語並存精明而渾厚矣  

                  〔采根譚) 

1 聖人の道は智(ち)と巧(こう)とを去る。智巧(ちこう)

  去らざれば以(もっ)て常と為(な)しがたし。

  民人(みんじん)これを用(もち)うれば

  その身(み)殃(わざわ) い多く主上(しゅじょう)

  これを用(もち)うれば

 その国  危亡(きぼう)なり。

 簡約ー上に立つ者は偉そうにするな、持てば災い多く、国も滅ぼす。



2.不賢(ふけん)にして賢者(けんじゃ)の師となり、

  不智(ふち)にして智者(ちしゃ)の正(せい)となる、

  臣(しん)はその労(ろう)を有(ゆう)し、

  君(くん)はその成功(せいこう)を有(ゆう)す、

  これをこれ賢主(けんしゅ)の経(けい)と謂(い)うなり。

 簡約ー自分は賢くない、智はないと思っている者こそ進歩がある。

 
3.君(くん)はその欲(ほっ)する所を見せるなかれ。

  君その欲する所を見せば、臣(しん)まさに自ら

  雕琢(ちょうたく)せんとす。

  君はその意を見せるなかれ。君その意を見せば、臣まさに自ら

  表異(ひょうい)せんとす。

   雕琢ー玉を磨く、かざる。

   簡約ー上に立つ者は心の内を見せるな、
        見せれば部下は飾るようになる。

  
4.至言(しげん)は耳に忤(さから) いて心に倒す。

  賢聖(けんせい)にあらざれば良く聴くなし。

   簡約ー良き忠告は真の聖人でなければ 聞くことは無い。
 
  
5.人の詐(いつわり)を覚(さと)るも 言〔げん)に

  形(あら)わさず人の侮(あなど)りを受くるも色に動かさず

  この中(うち)、無窮(むきゅう)の意味(いみ)有り、

  亦(また)無窮の受用(じゅよう)あり。

  簡約ー他人の偽りを受けても、馬鹿にされても、知らぬふりをする、

     その態度に極まりなき意味がある。


6.人を害するの心は有るべからず。人を防ぐの心は無かるべからず。

  これ慮(おもんばか)るに疎(うと)きを戒(いまし)むるなり。

  寧(むし)ろ人の欺(あざむ)きを受くるも人の詐(いつわり)

  を逆(さか)うる毋(なか)れ
   
  これ察(さつ)に傷(やぶ)るるを警(いまし)むるなり

  二語、並びに存(ぞん)せば清明(せいめい)にして

  渾厚(こんこう)ならん
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(1)福不可徼。養喜神以為召福之本而已 。禍不可避

      去殺機以為遠禍之方而已。     采根譚

  
(2)地之穢者多生物。水之清者常無魚。故君子当存含垢納
   
      汚之量。 不可持好潔独行之操。  采根譚

   

(3)不責人小過。不発人陰私。不念人旧悪。三者可以養徳。

      亦可以遠害。           采根譚

   
(4) 人看月、皆徒看也。須於此想宇宙無窮之概

                       言志録

(5)諺云、禍自下起。余謂是亡国之言也。不可使人主誤信之。

   凡禍皆自上而起。  雖 其出於下者、而亦必有所致。

   成湯之誥曰、爾万方有罪、 在予一人為人主者、

   当監此言。            言志録

1.福は徼(もと)むべからず。喜神〔きしん)を養い以(もっ)て福を
  
  招くの本(もと)を為(な)さんのみ。

  禍(わざわい)は避(さ)くべからず。 

  殺気を去って以て禍に遠ざかるの方(ほう)を為さんのみ。


2.地の穢(けが)れたる者は多く物を生じ、水の清(す)める者は

  常に魚(うお)なし。

  故に君子は当(まさ)に垢(こう)を含み汚(お)を納(い)
  
  るるの量を存すべし。

  潔(けつ)を好み、独り行ふの操(みさお)

  を持(じ)す可(べ)からず。
 

3.人の小過(しょうか)を責めず、人の陰私(いんし)を発(あば)

  かず、人の旧悪(きゅうあく)を念(おも)はず、三者もって徳

  を養ふべく、亦た以て害に遠ざかるべし。

   陰私ー秘密      小過ー小さなあやまち

4.人は月を看(み)るに、皆、 徒(いたずら)に看るなり。

   須(すべか)らく此(ここ)に於て宇宙 窮(きわ)まり

   無きの概(がい)を想うべし。

 
5.諺に云う禍は下(しも)より起こると。余(よ)謂(い)う

   是れ国を亡ぼすの言なり。人主(じんしゅ)をして誤りて

   之(これ)を信ぜしむ可(べ)からずと

   凡(およ)そ禍は皆 上(かみ)よりして起こる。

   其の下(しも)より出(い)ずる者といえども、

   而も亦必ず致す所有り。

  成湯之誥(せいとうのこう)に曰(いわ)く、

  爾(なんじ)万方(まんぽう)の

  罪あるは予(わ)れ一人に在りと。

  人主たる者は、当(まさ)に

  この言(げん)を監(かんが)みるべし。

   成湯之誥ー殷の湯王の訓告の言葉 
   爾万方ー全国すべての人々   監ー理想、見本、

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 1.  子曰。 已矣乎。 吾未見 能見其過而内自訟者也
                
                     論語 公冶長篇     

 2.  子曰。徳不孤。必有隣
                
                     論語 里仁篇
 
 
 3.  子曰。君子欲訥 於言而敏於行  
                 
                     論語 里仁篇

 
 4.  饒舌之時、自覚気暴。 暴斯餒  安能動人
                 
                     言志録 

 
 5.  慎言処、 即慎行処
                 
                     言志録

 
 6.  曾子曰。吾日三省吾身、為人謀而不忠乎。 

     與朋友交而不信乎。 傳不習乎
                  
                     論語 学而第一
1.子曰く。已 (やん)ぬるかな。吾(われ)未(いま)だ能{よ}く

其の 過(あやまち)を見て而{しこう}して内自らを訟(しょう)

する者を見ざるなり
 

  已矣乎(やんぬるかな) ーため息をつく言葉

   訟ー責め正す

2.子曰く 徳は孤(こ)ならず、必ず隣〔りん)有り

  
孤ー孤独。   隣ー同じ考えの隣人


3.子曰く君子は言(こと)に訥 (とつ)にして、而(しこう)して

行(おこない)に敏(びん)ならんことを欲す

  
   訥ー飾りの無い、遅く鈍い    


4.饒舌{じょうぜつ}の時、自ら気の暴するを覚え、


  暴すれば斯 (ここ)に餒{う}える。

  安{いずく}んぞ 能{よ}く 人を動かさんや。

  
斯ー 暴の反意語の道理や道徳を指す。 
  
  餒える。 ーひどく欲しくなる


5.言{こと}を慎{つつし}む処{ところ}すなわち行{おこない}

  を慎む処なり


6.曾子(そうし)曰く。吾{われ}日に三たび 吾(わ)が身を

  省(かえり)みる人の為に謀{はか}りて

  忠(ちゅう)ならざるか、朋友(ほうゆう)と交わりて

信ならざるか。 伝えられて習わざるか。
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  天下皆知美之為美。斯悪已。
   
  皆知善之為善。斯不善已。

故有無相生。難易相成。

  長短相形。高下 相傾。

音声相和、前後相随。恒。
 
  是以聖人。処無為之事。

行不言之教。 

天下、皆(みな)美の美為(た)ることを知る、斯(こ)れ悪のみ。

皆善の善 為(た)ることを知る、斯(こ)れ不善のみ。 

故(まこと)に有無(ゆうむ)相(あい)生じ、 難易(なんい)

  相(あい)成(な)し、

  長短 相(あい)形(けい)し、高下 相(あい)傾(かたむ)け、

音声相和し、前後相 随(したが)うは恒(つね)なり。

是(ここ)を以(も)って聖人は、無為(むい)の事に処(お)り

不言(ふげん)の教えを行う。 

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   万物。作焉而不辞。

   生而不有。為而不恃


功成而 不居。

   夫唯不居。 是以不去。

 
万物(まんぶつ)は

作(つく)りて 而(しか)も辞(じ)せず、

生(しょう)じて有(ゆう)せず、

為(な)して 而(しか)も恃(たの)まず、

功(こう)成(な)って而(しか)も居(お)らず。

夫(そ)れ唯(ただ)居(お)らず
  
是(ここ)を以(も)って去(さ)らしめられず。

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